【グルメNo.1】 「西安麺荘 秦唐記」のヨウポー麺(ビャンビャン麺)/八丁堀
辛い!痺れる!モチモチ!
一昨年西安を旅した。始皇帝の兵馬俑よりも、玄奘の大雁塔よりも、明の時代の城壁よりも印象に残ったものがある。それが、ビャンビャン麺だ。
「ビャン」の漢字はなんと、58画もあり、最も画数の多い漢字のひとつとされる。そんなインパクトのある字を看板に掲げたお店、一度入らずにはいられなかった。
厨房では料理人が幅1メートルはゆうにあろう、生麺をまるでエキスパンダーのように伸ばしては、縮め、打ちつけ、また伸ばす。それを延々と繰り返していた。そうしてできた麺の幅は軽く2センチを超え、きしめんやほうとうに類している。違うのは柔らかく、コシがなく、つるつるなのどごし。それから、唐辛子やピーナッツ油、塩、黒酢、花椒などが、渾然一体となった、一口でこれこそ中華だと、断じたくなる旨さがここにある。わずか5日の旅にもかかわらず、思わず私は、連日通ってしまったのだ。
あの味をもう一度。帰国し、同じ味を求めて彷徨うこと幾度かあれど、再会には至らなかった。今回ひょんなことで思い当たりググッてみたところ、この店が9月に開店したばかりであり、それなりの評価を勝ち得ていることを知り、馳せ参じてみた。
結果は、まあ満足。麺の歯ごたえ、太さ、ネギ、角煮などの盛り付けは申し分ない。肝心の味も痺れが強すぎて行き過ぎの感はあるが、西安のそれと同列に論じられるべき麺であることに間違いない。
サイドメニューに白飯を掻き込み、辛さを中和するのはこの店の作法だろう。満腹だ。次回はトマト麺、ジャージャー麺とのミックスにも挑戦してみたい。