【谷根千の風景No.2】 千駄木駅周辺から不忍池を夜間走行
近頃は、平日であれば週二回程度走っている。いつも皇居を周回できれば、我が庭のように親しむこともできるが、途中下車することになりそうもいかない。それゆえ、デスクワークから帰宅して、なまったからだに鞭打つべく、不忍池かスカイツリーへ向かう。今回は不忍池へのルートを紹介する。
自宅を飛び出して2、3分もするかしないかのうちに、不忍通りに出る。この通りは北は山手線に沿うように雑司ヶ谷まで続いているが、いつも南へ向かう。街もライトアップされていて、夜遅くても結構明るい。
千駄木駅と根津駅の中間あたりにかかる。往来堂書店がある。この書店はいわゆる町の本屋さんだが、選書が個性的で定評がある。愛聴しているJ-WAVE 杏と大倉眞一郎の番組 BOOK BARの、一冊入魂コーナーに往来堂書店の笈入店長がしばしば登場する。私も一度覗いたことがあるが、ポップといい、ディスプレイといい、こだわりある書店の印象を持っている。
さらに走るとやがて上野動物園の裏門にあたる池之端門が見えてくる。夏には動物たちの体臭や糞、餌などの匂いが漂ってくることもあるのだ。
池之端門を過ぎると、すぐ左手に不忍池が見える。夜は向こう岸に、スカイツリー、弁天堂がライトに照らされて一枚の絵のように暗闇に浮かび上がる。なかなか素敵な風景。
反時計回りに周回していくと、右手に中華で有名な東天紅が見えてくる。東天紅を凌駕するノッポマンションは最上階は有名芸能人が住んでいるらしい。冬のこの時期の水面は枯枝しかないが、夏にはむせ返るくらいの蓮の華で賑わう。
遊歩道の隙間からは上野の繁華街がチラホラ姿を現わす。
4分の3周近く走ると、小さな橋を渡って、離れ小島の弁天堂に行き当たる。芸事の神様らしく、そうした面々から奉納された提灯の山は、まばゆく、暖かい、ちょっと華やぐような幻想的な風景に映る。
いつものように池の周りを8の字に回ったり、反時計回りの次は時計回りに走ったりして、だいたい2周分くらいして、来た道を戻る。この日も約7kmを40分間、うっすら背中に汗かくくらいに駆けてきたよ。