谷中ハチ助のブログ

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【読書】村の名前/辻原登

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 先日の日経小説大賞授賞式で初めてお目にかかり、先生に興味を持ちました。恥ずかしながら辻原先生の作品を一度も読んでなかったので、手に取ってみました。

 

 毛沢東時代の中国に、日本の商社マンが桃源郷の由来となった秘境の村を訪ね、畳イグサの生産を売り込みに行ったところ、開発の話に摩り替えられるわ、犬は食わされるわ、現地の女と関係を持ってしまうわで、後に引けなくなってしまいます。さすが中国恐るべしです。

 

 難解な作品との評が多いようですが、私はそうは思いませんでした。というのも、作者には確かに、読者をあちら側に引っ張る世界観が確固として築かれており、それに、意志をもって抵抗しようとしなければ、この作品の拒絶には至らないことが明確だからです。何をいいたいかといえば、この作品には明らかに引力があります。だから名作だし、30年もの時を経ても色褪せていないのではないしょうか。

 

 折を見て、辻原作品を追いかけてみたいと思います。