谷中ハチ助のブログ

登山、読書、ベイスターズ情報を谷中からお届けします

【読書】サッカーなら、どんな障害も乗り越えられる/江橋よしのり

f:id:yanakahachisuke:20180314223442j:plain

 重いタイトルとは裏腹に、爽快な読後感が漂うノンフィクション

 心地良い。というのは、本書に登場する主人公たちの躍動が、その背景の重さを軽々と超える軽やかさで描かれているからだと思う。

 

 有り難いことに、著者と先週、酒を酌み交わす好機を得た。

 取材の裏話や、モチーフの選び取り方など、3時間超にも及ぶ歓談は、勉強になる、ではなく、まるで好きな授業を受ける生徒と先生のような立場であった。前のめりに語り尽くせぬ先生に、生徒は圧倒され、受け止めるべき心のノートは余白がないくらいに書き尽くされ、現場で輝くライターの覇気を垣間見た気がした。

 

 この本は、まるで本人たちが独白したかのように、心の機微や葛藤が、ふんだんなエピソードとともに綿密な取材によって、随所にまぶされている。フットボーラー本人に直接話を聞いているような臨場感に溢れているのは、著者の率直なひととなりが本書の構成にも多大な影響を与えているのではないかと、著者と別れた後、思い至った。

  

 一括りに「障害」と書くのは簡単だが、そこから派生する個性とサッカーが、人生を彩らせることを、教えてくれる一冊。サッカーに限らず、何かに熱中している人はそれだけで幸せなのだろう。