【読書No.62】女生徒/太宰治
女性の気持ち、が少しはわかるようになったかもしれない。
人間失格、が苦手だった。九州の実家には読みさしのそれが確か4冊あった。忘れた頃に断念したことすら忘れていたが、合わないのに固執していたのだ。でも結局は投げ出した。
今回、因縁ある太宰治作品を手にするきっかけになったのは、先週、FMラジオJ-WAVEのRADIO SWITCHで角田光代さんが、この作品ほど、女心がわかる作品は他にない、と断定していたからだ。そこまでおっしゃるなら、と私も意を決して飛び込んだのである。
果たして、そのとおりだったのだ。短編集の本書に登場する主人公の女性、また女性のいずれもが、目の前にいるかのように生き生きと像を結ぶ。失礼ながら、名人芸であり、さすが文豪。開眼する思いだった。
到底男が女を書いたとは思われない、むしろ同性の女性が書いたとしか考えられないくらいだった。そのように思いを巡らすと、下世話だが太宰治の異性関係が乱れていたのも頷ける。だって、手に取るように心持ちがわかるんだもの。。
この事実を発見した角田さんもさすがだなと、唸らされた。