【読書】#9(ナンバーナイン)/原田マハ
たどり着いた充足に引き換え、あまりにも寂しい結末。読後、しばらく何もしたくなくなるような虚脱感に襲われた。
主人公の彼女は父の影響を受けて美術を志して田舎から上京し、生活を維持するために、偽物を扱うギャラリーで不本意な営業を行うが、数字を上げられずこのままでいいのかと思い悩む。
そんなある日、彼女に連れられてギャラリーを訪ねた男によって、運命が大きく動き出す。
上海、東京を舞台に古美術から現代アートまで網羅された意欲的な作品に、作者の西洋美術にとどまらない守備範囲の広さ、造詣の深さに圧倒される。
それはアートに対する探究心が単なる好奇心を超えた、愛着の域にあることを改めて知らせてくれた。
ああ、美術っていいなあ。