谷中ハチ助のブログ

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【読書】きなりの二人/藤谷治

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 伝説の為替ディーラーと主演に呼ばれなくなった女優が、古い家を買い、一緒に暮らすようになる。その過程には紆余曲折があって・・・

 

 著者曰く、大人の恋愛をテーマにしているという。著者のツイッターから引用すると「40を過ぎてから小説家になった僕にとって、大人の読書に耐える恋愛小説が書きたいという気持ちもありました。大人の恋愛小説というと、どうも世間では官能的なもののように思われているような気がしてならなかったのです。でもそれは違うはずです。」

 

 なるほど。セクシュアルなものよりも、情緒、内面に訴えかける心理描写、内省が多い。僕自身、大人の恋愛とはどういうものかと問われれば、世間寄りではなく、著者に近い立場をとる。目に見えるもの、耳に聞こえるもの、触って理解する形状など、五感を研ぎ澄ませたその先に、思索がある。大人になることって考えることなのではなかろうか。更にその先になにがあるかは誰も分からない。だから人生って面白い。たぶん。

 

 こういうアプローチに諸手を挙げなくとも、否定しないのであれば、読んでみる価値があると思う。