【読書No.71】タイニーストーリーズ/山田詠美
恥ずかしながら、山田詠美さんの作品を読んだことがなかった。もちろん、高名は轟いているし、評判だって耳にしている。特に、女性からの支持が圧倒的だということが、私をはじめの一歩から遠ざけていたように思う。いいらしいよと、聞けば聞くほど、頑なに退けていた。
畢竟、バカだった。もっと早く読むべきだった。表現が巧み、読者を力強く物語の側に引き込む力がある。
本書は短編集、作品は一般的に言って、短ければ短いほど、力量が問われる。器が決まっていれば、溢れさせないための創意工夫が求められる。文章に無理矢理詰め込んだ感がなく、まるで、一筆書きに書いたように流麗。恐れいった。
題材もさまざま。GI、お爺さん、復讐に、電信柱まで!人でないモノにまで、心理描写を巧みに施している。
こりゃ、次は長編読むしかないわな、一躍ファンになった。
読むきっかけになったのは、村田沙耶香が書評で褒めちぎっていたから。今ならわかる。私も山田詠美ワールドにどっぷりはまりたくなったから。これからが楽しみだ。