【読書No.81】男の隠れ家を持ってみた/北尾トロ
四十半ばにして、家庭や仕事以外に居場所を探そう、それにはまず家族の待つ自宅とは別に、自分のためだけの別宅を持つのがよかろう。
これくらいの歳まで生きてくると、なかなか新しい関係性を構築するのは難しい。著者の試みや如何に?
雑誌の企画とはいえ、家庭崩壊を招きそうなチャレンジ。妻に打ち明けると案の定…
結論からすると、どのような境遇であれ、設定であれ、最も大きなファクターは本人の意思なのである。持ち家だろうが、男の隠れ家だろうが、結論にさほど大差はないであろう。
ただ、著者が著名な文筆家として、妄想を現実化できる環境が羨ましかった。さもなくば、家庭崩壊とまでは至らなくても、亀裂くらいは入ろう。
10数年前の作品であるが、時が経た今も、ほとんど時代や考え方は変化していないので、良い意味で本作品は色褪せていないのであった。