【読書No.69】星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン
難儀だった。続出する技術系単語。一文に3つも4つも知らない語が出てくる。難読は更なる難読を招き、始点と終点は全く懸け離れた果てしない連環のように思えた。
しかしなんとかクライマックスを見るに至った。根気強く先を追いかけさせてくれたのは、物語の大きな流れだろう。
本書は月面調査隊が、5万年以上前に死んだとされる人間そっくりの死体を発見するところから始まる。人類と同じく、あるいはそれ以上の文明を持ったルナリアンの謎を解き明かすべく、舞台は地球、月、木星と移り変わる。
あまりに壮大なスケールに圧倒され、読者はまるで同時代に生きているような錯覚に陥るのだ。苦しみながらも引き込まれたのは、人類とその起源を辿らせ、未来を読み解く一助になるような予感が、本書に込められているからだ。
信じられないことに、本書は40年も以上前に記された。宇宙が地上を熱狂させた時代がかつてあった。その頃に比べれば、熱が冷めてしまったのは一目瞭然であり、寂しいことこの上ない。
本書を手に取るきっかけとなったのは、プラネタリウム専門メーカーの太平貴之さんが、何度もこの小説を読んでいると聞いたのが、きっかけだった。
https://bmanner.com/books/20190226b
進歩を止め、挑戦することを止めれば人類の進化の歴史は終わる。残念ながら科学者にはなれなかったけれど、未来を育てる人や環境づくりに携わっていければと思った。
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