【谷根千No.7】 エスプレッソ ファクトリーのアイスカフェラテ
千駄木駅を背に団子坂を駒込方面に登っていく。その喫茶店は、団子坂を登り切る一歩手前の9合目、東洋大学国際学館向かいの古ぼけたビルの一階に陣取っている。
小さなオリーブの植木に迎えられてを、ガラス扉を引けば、30㎡ほどの奥へ細長い空間が広がっている。
一人で切り盛りしている店主が、いらっしゃいませ、と愛想よく出迎えてくれる。
なるべく安価で提供したいということもあり、セルフサービスになっている。しかし、カフェは折り紙つき。本場イタリア シモネリから抽出された香り高い一杯が味わえる。
私が特にオススメしたいのが、アイスカフェラテ。350円。苦味と若干の酸味があり、コク深い。ガムシロップとの相性もよく、わたしのような甘党にもありがたい。これからの汗ばむ季節、濃いアイスカフェラテで、頭も喉もスッキリすること間違いない。スタバなどのチェーン店並みのお値段で、気持ちのいい時間が過ごせるのだから、こちらにきて一息ついた方がいいに決まってる。
アイスカフェラテだけではない。ホットは可愛らしいラテアートとフワフワのスチームミルクが濃厚なエスプレッソと見事なマリアージュを描いている。
エスプレッソはこだわりの立ち飲みのみ。本物の出来立てを味わってもらうためらしい。他にも、フレンチプレスやフルーツジュースなど、手抜かりのない、丁寧な仕事ぶりに、必ずやお気に入りの一杯を見つけられるだろう。
ご主人は気さくで、年配の方にも、年端の行かぬ子どもにも、物怖じせず接してくれる。こちらが1話そうなら、3か4くらいでは返ってくる印象がある。元来接客がお好きなのだろう。
見かけたことはないが、谷根千の著作が多数ある森まゆみさんもここの常連らしい。
店内は20人も座れば満員で、ランチタイムのパニーニ以外、クッキーやブリュレくらいしか食べ物は脇役程度にしか取り扱っていない。もちろん、味は悪くないが、これでやっていけるのだろうか、と思っていたら、杞憂だった。
平日でもひっきりなしに客は入っているし、イートインと同じくらい、イートインより50円安いテイクアウトが多いのだ。だからお店はいつもそこそこ賑わっているし、狭い店だから長居は遠慮がちになるが、一時間やそこらなら、気兼ねなく過ごせるだろう。
質の高いコーヒーと気持ちのいい接客で、地域の安らぎの場になっている。エスプレッソファクトリーは、千駄木の知る人ぞ知る名店だろう。
◯エスプレッソ ファクトリー/千駄木
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