【登山】那須岳②撤退 日本百名山
スタート時の小雨は、雹、霙、小雪と、次第に体積を増していく。それにつれて、山道もまた、笹の緑、泥んこの土、雨滑らしの石、木々を覆う雪へ景色を移り変わらせていった。
大混雑の避難小屋でカップ麺とおにぎりで早めの昼食にする。この先、風雪を防ぐ適切な場所がないと思われたからだ。
少し遠回りになるが、那須岳最高峰の三本槍岳を目指すが、小屋を出て15分で急登があり、アイゼンなしの身には攻略が難しいため引き返す。
こうなったら、今夜小屋度三斗小屋への最短ルートを狙うが、道幅が50センチもなく狭い崖、舞う雪が顔を叩くように強くなっていく。
もうだめだ。意を決して避難小屋まで戻り、三斗小屋にキャンセルの連絡を入れる。「もう着いている人もいるし、こちらはそれほどでもないよ」他人がどうのこうのじゃない、私が行けないから連絡しているのだ。対応にがっかりしつつ、己の技術の無さとせめてアイゼンを持ってくるのだったと、雪の予報でなくとも、この時期は持ってくるべきだったと準備不足を悔いた。
次は万全で臨みたい。
このように視界も悪く、足下も覚束ず撤退を余儀なくされる。
避難小屋周辺にも雪が