【登山】北岳⑤ 日本2位の最高峰 雪渓編
真夏の山に、突如現れる一面の積雪。高さ100m、幅10m、厚さ1mはあろう雪のキャンバスが谷間に広がる。
北岳からの広河原への下山途中、難所八本歯のコルを突破した先の、左俣ルートにそれは存在していた。
初めて見た雪渓は、石灰質の白と勘違いした。近くには、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳と石灰質を含んだ岩肌で著名な峰々があるため、ここにもかと思っていたが、なんだか様子が違う。
登山道は白い物体から、およそ5mは離れていたが、そちら方面から吹き抜ける風が冷気を含み、照りつける夏の日差しを遠避けるかのように、涼やかな風を運んでくる。
そこでようやく私は、白の平原を雪だと認識したのだ。富士の山頂ですら、碧くなるこの季節にまさかの冬の風物詩。
気づきに少しの間呆然。思いがけない真夏の雪渓に見惚れた。
さらにくだると、雪渓から溶けだした大量の水が溢れ出し、川を形成していた。