谷中ハチ助のブログ

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【読書】生きているだけで、愛。/本谷有希子

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 無茶苦茶である。読後について出た一言がこれであり、これに尽きる。

 

 著者は劇団を率いていて、最近はテレビにすらよく出ている。ハチャメチャさ加減とその美貌のギャップで、男どもに人気である。しかし、よくある男子に媚びる女子ではない。その真反対に位置している。この作品も著者の素の感じが投影されている気がして、不思議とああ、本谷有希子だわ、とセブンルールを見ていて納得してしまう。

 

 まず設定がイカれてる。過眠症である。不眠症はよく聞くが、こいつは初めてだ。現代社会においては、まずにして惰眠をむさぼるという言葉があるくらいだから、眠りは怠慢の象徴でありすらされ、褒められたものではない。せいぜい、健康に気を遣ってるねとか、美容のため?などと眉を顰められるのがオチである。だが、ホントにあるらしい。何でもありかよと思ってしまうが、立派な病気なのである。侮れない。

 

 だが、である。主人公はいくら頑張っても眠ってしまう。そうして当然ながら、周囲との波長が合わない。いちいち反応も過剰である。恋敵には、不真面目だと逆上される。でも、たった一人主人公のありのままを受け入れてくれる存在がある。それだけで救いがある。たぶんそういうものだろう、人生は。

 

 8月に本作がロードショーで公開されるらしい。怖いもの見たさで観たい気もする。乞うご期待である。