【読書No.58】 青春を山に賭けて/植村直己
恥ずかしながら植村直己の偉業を正確に理解していなかった。世界初の五大陸最高峰登頂、アマゾン川単独筏下りなど、数々の輝かしい冒険を成し遂げている。本書は、その前半録ともいえる、山との出会いから、グランドジョラス氷壁登頂までを収めている。
本人による記録であり、語り口は朴訥だ。
私が印象に残ったのは、山に賭けていたため、そのすべてを山優先で生活を切り詰めていた実態だ。大学を出て就職できなかった彼は、好きな登山に身を捧げる。縁あって、元オリンピックチャンピオンの経営するフランスのスキー場で資金稼ぎの為に働く。仲間たちがクリスマスパーティーに繰り出した日、彼は一人自室に篭り、ジャガイモを煮て、フランスパンを齧り、登山を夢見る。あるいは、アフリカ最高峰への挑戦にも、奴隷貿易時代のような窓のない4等客船に乗り込み、黒人たちと仲良くなり、ガールフレンドまでつくってしまう。その他にも、面白いエピソードが随所に散りばめられていて、難関を突破していく。
実に逞しいのだ。環境を言い訳にしない芯の強さが彼にはあった。
夢を追かけるなら、臥薪嘗胆の気構えを学べる一冊だ。
恥ずかしながら植村直己の偉業を正確に理解していなかった。世界初の五大陸最高峰登頂、アマゾン川単独筏下りなど、数々の輝かしい冒険を成し遂げている。本書は、その前半録ともいえる、山との出会いから、グランドジョラス氷壁登頂までを収めている。
本人による記録であり、語り口は朴訥だ。
私が印象に残ったのは、山に賭けていたため、そのすべてを山優先で生活を切り詰めていた実態だ。大学を出て就職できなかった彼は、好きな登山に身を捧げる。縁あって、元オリンピックチャンピオンの経営するフランスのスキー場で資金稼ぎの為に働く。仲間たちがクリスマスパーティーに繰り出した日、彼は一人ジャガイモを煮て、フランスパンを齧り、登山を夢見る。あるいは、アフリカ最高峰への挑戦にも、奴隷貿易時代のような窓のない4等客船に乗り込み、黒人たちと仲良くなり、ガールフレンドまでつくってしまう。その他にも、面白いエピソードが随所に散りばめられていて、難関を突破していく。
実に逞しいのだ。環境を言い訳にしない芯の強さが彼にはあった。
夢を追かけるなら、臥薪嘗胆の気構えを学べる一冊だ。