谷中ハチ助のブログ

登山、読書、ベイスターズ情報を谷中からお届けします

【読書No.75】人生なんてわからぬことだらけで死んでしまう、それでいい。 悩むが花/伊集院静

f:id:yanakahachisuke:20190420160240j:image

 

唖然とした。絶句した。率直な物言い。ここまでとは。

 

本書は伊集院静さんが週刊文春で連載していた、読者からのお悩みに答える形式で連載していた記録を収集したものだ。

 

感想だけ書いても伝わらないだろうから、一部の要旨をご紹介する。

 

Q 結婚式のスピーチを頼まれました。人の心をつかむ話のコツを教えてください。

A 人の心なんかつかむんじゃねえよ。

 

Q 行きつけのメイドバーにタイプの子が入店しました。客とメイドの交際はできません。誘うべきでしょうか。

A その子を連れて逃げなさい。

 

万事がこんな調子なのである。もちろん、論理的に説得していく意図の感じられる回答もある。だが、たいていは、そんなの知らんがな、あるいはやるなら徹底的にという意図が見え隠れする。

 

タイトルからして、おそらくは悩んだってしょうがないことだらけなのだから、思い切っていこう、もしくは悩むのもいいんじゃない?それが人生なんだから、というものだ。

 

いわゆる人生相談と聞いて想定しうるのは通常、寄り添いとか、伴走とかそういった類のものだろう。

 

しかし、読者はもちろん、伊集院さんにそんなあたり前は求めていない。一刀両断、待ってました、真打ち登場。やんややんや拍手喝采の雨嵐。欲するのはそのような境地であるに違いなく、そのような視点に立てば、納得でしかない。

 

たまに昭和の男性特有の性差に対する考えの違いが見え隠れするが、それもこの方はそういうものだろうと思って読むと、気楽にやり過ごせるかもしれない。