谷中ハチ助のブログ

登山、読書、ベイスターズ情報を谷中からお届けします

【読書No.72】いつか海に消えゆく BLOODY DOLL 15/北方謙三

f:id:yanakahachisuke:20190326172515j:image

 

タイトルからして北方ワールド炸裂!あまりにもハードボイルド。男を上げるなら読まなきゃいかんでしょこれは。

 

私は不定愁訴のように、北方作品の波に飲まれる。飲まれて、揉みくちゃになり、天地がひっくり返るが如くクルクル廻され、引き裂かれ、ずぶ濡れになる。息を吹き返したときは無人島の浜辺に流れ着いたような、長きに渡る漂泊があった。水滸伝しかり、楊令伝しかり。

 

あのときどきはまずかった。長期にわたり、シリーズを読むことにかかりきりになってしまい、キリがいいところまで読み切らないと、次へはかかれない。他の作品への防波堤となってしまうのだ。遅読の私にとって致命的ですらあった。

 

しかも北方先生は執筆量が多く、あっという間に巻を重ねてしまう、前のめりになってしまうと、連載中のそれらに手をだすことにすらなる。

 

今回も中毒にかかりそうな予感はある。手にしたのはなんと15巻目であった。どうして司書の方が本書を目立つところに書架に立てていたのかわからないが、とにかくも呼ばれたから来たような格好になってしまった。要は断りきれなかったのだ。

 

話は妻を殺されたことで弁護士を辞め、南の島の漁師となった男が、縁の薄かった妻の弟とのつながりを求めるうち、さまざまな事件に巻き込まれ当事者になっていくというもの。

 

北方先生は船舶免許も持っているらしく、操作法や部品の果たす役割にも精通している。好きこそものの上手なれ。得意の短文を重ねる文体で、緊張感を生み出していく。

 

こんなの現実にあるかいな、あったとすればそれはロマンチックすぎるやろう。前に14巻、後に1巻が既に刊行している。気になるからには、巻き込まれてみるしかないだろう。