谷中ハチ助のブログ

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【読書】月と六ペンスThe Moon and Sixpence/サマセット モームWilliam Somerset Maugham

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   狂ってる。そういう見方もあると思う。40代のある日、妻子と安定した収入をかなぐり捨て、絵を描くことにすべてを投げ出すことにした男の尊大な半生。でも主人公は幸せだっただろう、多くの読者が肯定的な感想を抱くに違いない。少なくとも私はそうだった。できることならば、何か一つでいいから、夢中になり、他人の評価はどうあれ、やりきったと言い切れる人生を生きたい。しかも、それが後世、多大な影響を与えたのなら、文句のつけようがないではないかとさえ、思わされる。私たちが想像する天才とはそういうものだし、生まれたのが早すぎたと形容することになる。それが、ゴーギャンという画家なのだと、コマ送りで見せてくれるのが、本作である。

 

   現代社会においては、ゴーギャンに限らず、モネ、ルノアール印象派だけでない、古今東西の芸術作品をお金と時間さえあれば、現物を見ることも可能だ。本物でなくとも、ネットを通じてなら、二次元だが、無料でいつでも鑑賞できるようになった。いい時代にいる。嬉しいではないか。しかしらである。せっかくだから、手間ひまかけて、ホンモノを観に行くことをオススメしたい。心に響く一枚は、旅の楽しみでもあるし、日常のふとした瞬間に思い出すこともあるかもしれない。そうすれば、あなたも作品の描かれた背景や画家その人を知りたくなることもあるのではないだろうか。

 

  好きな画、画家には物語がある。私も好きな画家の物語をもっと知りたくなった。