【登山No.51】甲斐大和駅〜上日川峠〜福ちゃん荘〜大菩薩峠 標高1,900m〜石丸峠〜玉蝶〜榧ノ尾山〜牛ノ寝〜狩場山〜棚倉小屋跡〜モロクボ平〜小菅の湯〜奥多摩 vertre
思いがけずのアイゼンデビューだった。備えあれば憂いなし。絵に描いたようそんな展開だった。最高気温は20度を超え、防寒着代わりのレインウェアを脱ごうかという勢いであった。
ところがどっこい、標高2,000m近くともなれば雪は残っていた。石丸峠から牛ノ根へ向かうよじ登りは、アイスバーンに封じ込められていた。
なんとかならぬものかと、ノーマルに木を掴み、上半身を傾けるも、足が滑る。足場を確保できず、ステーン!うつ伏せに胸を氷に強打してしまった。結果やむを得ず、そいつを取り出したわけである。
ザク、ザク、ザク。ガンダムではない。アイゼンが雪を踏みしめる音。妙に小気味よい。初めての音。なんだか心地よい。安心を齎すような安らぎを覚える。こりゃ、いいかもしれない。ピークを過ぎて、笹だらけの野原に続くまで、時間にすればわずか30分程度であったかもしれない。しかし、私は確実に幸せだったのである。もっとこの感触を愉しみたい。積雪の平原を静かに、心踊るように歩き回りたい。そう思ったのである。
氷の昇降ののちは、ひたすら長大な尾根が終いまで持続した。その名のとおり、まるで牛の寝姿のようであった。5時間弱もの間、まるで伴侶のようにじっとりと尾根に添って長きに渡る時間を足腰の強さ鍛錬に費やしたわけである。
湯浴みも本年初、そして何かにつけ平成最後の小菅の湯。大多摩湯めぐりでは、ここが施設としては最も充実しているだろう。露天風呂だけで、五右衛門、湯壺、湯殿。内湯には寝湯、ラドン、湯殿、サウナ。十分すぎる容量でリラックスできる。
締めはいつもの奥多摩vertre。またしてもcremeは品切れだが、ヴァイツェンとフィッシュアンドチップスが安定の味。
無事帰還したが、強打した胸が鼻をかむ度違和感あるのが気になる。なんともなければよいが。
なぜか、写真が添付できないので、今回は文章のみにてご容赦ください。
◯活動時間:6時間58分(休憩等48分含む)
◯歩行距離:14.7km