谷中ハチ助のブログ

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【読書No.74】僕は勉強ができない/山田詠美

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この本と出会っていたら、青春時代がもっと楽に過ごせたかもしれない。

 

大人になってから、青春モノや学園モノをいつしか避けるようになっていた。それには、気恥ずかしさや、あの頃と同じような感情をいだいて、読むことはできないという、断定に近い偏見があったからだ。

 

しかし、この作品はそうした私の意固地な姿勢を和らげてくれ、しかも、青春期の甘やかな気持ちや青臭い志を追体験させてくれるような、切ない効果があった。 

 

主人公の彼、秀美は自らを個性的だと自認しているわけではない。むしろ、周囲がそう捉えることによって、軋轢は生じる。

 

私自身もなぜ周囲に合わせなければならないのかと、疑問をもつこと甚だであって、未だに同調圧力に苦労しているから、この作品の秀美が親や友人の良き理解者を得て、馴染んでいくのが、非常に好ましく思える。

 

人生においては自分自身がなんとかできることよりも、周りとの関係性において導かれることが多いように思う。これからも良き出会いがありますよう。

そんな思いに至る読後感だった。