【読書】山女日記／湊かなえ

山女日記と出会ったのは、南アルプスの山小屋「馬の背ヒュッテ」の書棚。湊かなえさんは登山本の著書があるなんて知らなかったので、ドキドキしながらめくってみた。

本書は８つのショートストーリーから構成されている。雪山や登攀などのいわゆる登山家ではない、ごく普通の女性が程度の差こそあれ、それこそ高尾山から日本アルプスまで、山に仕事、趣味、家族、友人、あらゆる連関の中から、登るに至った経緯から山を登る最中までを綴っている。

そうしてそれはそのまま、女性だけではなく、男性にも当てはまることだと気づいた。私もどうして山にのめり込むようになったのか、一言で説明するのは難しい。

その代わり、この本を読んでもらえれば、ああ人は色んな理由があって山に向かうのだということがわかってもらえるのではあるまいか。

ヒュッテでは読み着れなかった本を地上で味わうのも悪くない。地上に降りてもずっと登山が継続しているようで、穏やかな時間が流れていた。

馬の背ヒュッテの本書には湊かなえさんのサインも。

どうやら湊さんも山を愛しているらしい。